ダイエットのために食物繊維を気にしている方も多いかと思います。
「食物繊維」ってなんとなく健康によさそうなイメージありますもんね。
ところで、食物繊維がどんなものなのか、どうしてダイエットをするうえで重要視されているのかよくわからない、という方も多いのではないでしょうか?
今回の記事では
・食物繊維に関する知識をつけて、ダイエットに生かしたい
・効果的な食物繊維の取り方を知りたい
・食物繊維に関する注意点を知りたい
という方に向けて
・食物繊維についての基本的な知識
・効果的な食物繊維の摂取方法
・食物繊維を摂取するときの注意点
を説明したいと思います。
※今回の記事は以下2つの本を参照にして記載しています。
食品成分最新ガイド 栄養素の通になる第4版
ニュートン別冊 食品の科学知識 増補第2版
食物繊維についての基本的な知識
食物繊維の定義
日本では、食物繊維は「ヒトの消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。
『カロリーの正体とカロリー消費のメカニズム』でも述べていますが、ヒトの体には食物繊維を分解できる酵素がありません。
そのため、食物繊維は吸収されにくく、エネルギー源にもなりにくい栄養素です。
食物繊維にもカロリーはある
食物繊維は吸収されにくく、エネルギー源にもなりにくい栄養素ですが、カロリーがゼロというわけではありません。
というのも、食物繊維は消化されずに大腸まで到達しますが、一部の食物繊維は大腸の腸内細菌の発酵・分解の作用を受け、短鎖脂肪酸※等に代謝されるからです。
食物繊維のカロリーについては、その評価方法や定量法などはまだ完全には確立されてはいませんが、1gあたり0~2キロカロリー程であると言われております。
※短鎖脂肪酸とは炭素数が6以下の脂肪酸のことで、ヒトの場合は酢酸、プロピオン酸、酪酸の3種が代表的な短鎖脂肪酸です。作られた短鎖脂肪酸は大腸から体内に吸収されて、大腸上皮細胞や肝臓、筋肉などのエネルギーとなります。
食物繊維の分類
食物繊維は水への溶けやすさから、水へ溶けにくい不溶性食物繊維と水に溶けやすい水溶性食物繊維に分類することができます。
食物繊維の水への溶けやすさには食物繊維の構造が影響します。
食物繊維は糖が繋がった構造をしていますが、糖が枝分かれして繋がっているものは水溶性でぬるぬるとした食感であることが多く、糖が枝分かれせずにまっすぐと繋がっているものは不溶性でざらざらとしている食感であることが多いです。
主な食物繊維を不溶性と水溶性に分けると以下の表のようになります。
名前 | 多く含む食品 | |
水溶性食物繊維 | ペクチン | 果物、野菜 |
グルコマンナン | こんにゃく | |
アルギン酸 | 昆布、わかめ、海藻 | |
β-グルカン | 大麦、オーツ麦 | |
イヌリン | ごぼう、きくいも | |
不溶性食物繊維 | セルロース | 果物、野菜、穀類 |
ヘミセルロース | 穀類、野菜、豆類 | |
キチン | きのこ、エビやカニの殻 | |
リグニン |
ココア、ピーナッツ |
不溶性食物繊維とは
不溶性食物繊維は腸の掃除をする働きを持ちます。
不溶性食物繊維は繊維が折り重なった網目のような構造をしているため、すき間に水を取り込むことができます。
水を吸収すると、体積がふえて膨らむため、大腸を刺激して排便を促すことになるのです。
便と一緒に体内の毒素やガスも一緒に外に出すことができます。
このようにして不溶性食物繊維はお腹の調子を整えます。
水溶性食物繊維とは
水溶性食物繊維は大腸に住む乳酸菌やビフィズス菌のエサになります。
乳酸菌やビフィズス菌が増えると、毒素やガスを作る細菌の勢力が衰えます。
このようにして水溶性食物繊維はお腹の調子を整えることができます。
また、水溶性食物繊維は乳酸菌やビフィズス菌によって分解されて短鎖脂肪酸になります。
短鎖脂肪酸には肝臓や脂肪組織で脂肪の合成を調節する働きや、小腸の細胞から食欲を抑えるホルモンが分泌されるのを促す働きもあります。
さらに、水溶性食物繊維は糖質や脂質を包み込んで糖質や脂質が小腸で分解されるのを妨げます。
糖質や脂質は分解されないと吸収されないので、水溶性食物繊維によって糖質や脂質の吸収をある程度抑えることができるのです。
このように水溶性食物繊維には、おなかの調子を整えるだけでなく、ダイエットにうれしい効果をもたらす働きがたくさんあります。
効果的な食物繊維の摂取方法
食物繊維はどのくらいとればいい
食物繊維の摂取不足が生活習慣病の発症に関連するということが多いことから、「日本人の食事摂取基準(2015年版)では、食物繊維の摂取目標が成人男性では20g/日以上、成人女性では18g/日以上と定められました。
「1日に必要な野菜は350g」
という言葉をよく聞くかと思います。
これは、野菜に多く含まれている食物繊維やカリウム、抗酸化成分が循環器疾患やがんの予防に効果があると考えられているからです。
実際に一日に350~400gくらいの野菜を摂取すれば、一日の食物繊維の目標摂取量を摂取することができます。
理想的な不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の割合は
理想的な不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の割合は2:1とされています。
このバランスが最も便秘を解消できたと言われています。
しかし、実際私たちの食生活では不溶性食物繊維の割合が多くなりがちです。
こんにゃくや海藻類等の水溶性食物繊維を意識してとることで、バランスよく食物繊維を摂取することができます。
食物繊維を摂取するおすすめのタイミングは
水溶性食物繊維には糖質や脂質を包み込んで糖質や脂質が小腸で分解されるのを妨げるはたらきがあります。
そのため、甘いものや脂っこいものを食べるときに、水溶性食物繊維を一緒に摂取することで、糖質や脂質の吸収をある程度抑えることが期待できます。
揚げ物を食べるときには海藻サラダを一緒に食べたり、スイーツを食べるときには青汁や食物繊維入りのコーヒーなどを飲んだりするのがおすすめです!
食物繊維を摂取するときの注意点
食物繊維をは積極的に摂取したい成分ですが、食物繊維のバランスと摂りすぎには注意が必要です。
不溶性食物繊維は、水を吸収して膨らみ、大腸を刺激して排便を促しますが、摂りすぎてしまうと腸に詰まって逆に便秘になる可能性があります。
水溶性食物繊維は、摂りすぎてしまうと腸から水分が過剰に移動したり、腸内細菌から過剰に短鎖脂肪酸が作られたりして、お腹が緩くなり必要な栄養素が吸収できなくなる可能性があります。
まとめ
今回の記事では
・食物繊維についての基本的な知識
・効果的な食物繊維の摂取方法
・食物繊維を摂取するときの注意点
を説明しました。
皆さんも食物繊維を正しく摂取して、効果的にダイエットを行ってくださいね!
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