カロリーの正体とカロリー消費のメカニズム

ダイエットをしていると、
「高カロリーの食べ物は避けてください」
「摂取カロリーより消費カロリーが高くなるようにすれば痩せる」
等、カロリーに関するアドバイスをよく見かけるかと思います。

ダイエットを行う上でカロリーの話題は多いです。
カロリーを気にして生活している人は多いでしょう。
しかし、カロリーの正体を知っている人は少ないのではないでしょうか?

今回の記事では

・ダイエットをしていてカロリーを気にしている人
・カロリーの正体が知りたい人
・カロリーの知識をにダイエットに生かしたい人

のために

・カロリーとは何なのか
・食べ物がどのようにして「カロリー」になるのか
・「カロリー」はどうやって消費されるのか
・「カロリー」をとりすぎるとどうなるのか
・カロリーの低い食品があるのはなぜ?

を説明したいと思います。

※この本は以下の本を参考にしています。
ニュートン別冊 食品の科学知識 増補第二版(2016年11月25日発行)

カロリーとは何なのか

カロリーはエネルギーの単位

「カロリー」とは本来はエネルギーの単位です。
エネルギーと聞くと「石油・石炭」や「火力・原子力」等、電気のイメージがありますよね。

掃除機やエアコン、テレビなどは電気のエネルギーを利用して動きます。
私たちの体も動くためにはエネルギーが必要となりますし、実は寝ているだけでも生命を維持するためにはエネルギーが必要となります。

私たちはこれらのエネルギーを食べ物から得ることになります。
そして、食べ物が持つエネルギーの大小を知るための単位がカロリーなのです。

1カロリー(Cal)は1gの水の温度を1℃させるのに必要なエネルギーと定義されています。
私たちが食品の表示などでよく見かけるキロカロリー(Kcal)はカロリー(Cal)の1000倍の単位で、1 Kcal = 1000 Cal になります。

カロリーのはかり方

100gのフライドチキンと100gのこんにゃくでは全然カロリーが異なるように、同じ大きさであっても食品のカロリーは全く違いますよね。
では食品のカロリーはどのようにしてはかるのでしょうか?

食品のカロリーは燃やしてはかります
食品を特殊な容器に入れ、容器ごと一定量の水の中に浸した後、容器の中を酸素で満たして食品を瞬時に燃やします。
すると、その熱で容器の外の水が温められますよね。
この時に水の温度がどれくらい上昇したかをはかることで、カロリーを求めることができるのです。

ただ注意してほしいのは、私たちが食品のパッケージやレストランのメニュー表等で見かけるカロリーの値はこのようにして求められたカロリーの値とは少し異なる、ということである。
例えば、タンパク質は1gを燃やすと5.6キロカロリーという値が得られますが、「日本食品標準成分表(食品成分表)」では、タンパク質のカロリーは1gで4キロカロリーと記載されています。

これは、食べ物のすべてを消化吸収できるわけではないからです。
食品成分表に記載されているカロリーは、消化吸収できなければエネルギーとして利用することもできない、ということが考慮され、実際にエネルギーとして利用できるカロリーが記載されています

私たちが食品のパッケージやレストランのメニュー表等で、普段目にしているカロリーは、食材ごとのカロリーを食品成分表から引用し、計算されています。
そのため、普段目にしているカロリーの数値はヒトが食品から取り出すことのできるエネルギーということになります。

食べ物はどうやって「カロリー」になるのか

エネルギーの産生工場「ミトコンドリア」に入る

例として白米を食べた際、どのようにエネルギーになるのかを説明します。

白米の主成分はグルコースと呼ばれる小さな分子の糖が繋がってできたデンプンです。
デンプンは分子が大きいため、そのままの状態では体内に吸収することはできません。
デンプンは唾液や腸液などの消化液によってグルコースに分解された後に、小腸で吸収されます。

省庁で吸収されたグルコースは、血液を通って体中の細胞に運ばれます。
細胞の中に入ると、グルコースはピルビン酸という物質に変えられます。
ピルビン酸はその後、細胞内のミトコンドリアと呼ばれるエネルギーを生み出す小器官に入ります。

ミトコンドリア内でエネルギー物質「ATP」が作られる

ミトコンドリアに入ったピルビン酸は、クエン酸回路と呼ばれる一連の化学反応を経て、様々な分子に変わっていきます。
この化学反応中には多くの電子が発生しますが、この発生した電子が引き金となって水素が細胞内と膜間(細胞内部と細胞膜の間の空間)を移動し、エネルギー物質であるATPが合成されます。

ATPはアデノシン三リン酸の略で、筋肉を動かしたり、筋肉を合成したりする際にはATPがエネルギーとして利用されます。

このように、私たちが食べた栄養素は「ATP」を作ることで、体に必要なエネルギーとなっているのです。

脂質は糖質より多くのでエネルギーを作れる

脂質は消化液によって分解された後、体内で脂肪となってひとまず皮下脂肪内臓脂肪などの脂肪組織に蓄えられます。
このようにして蓄えられた脂肪は、必要に応じて脂肪酸に分解されて、血液を通して全身の細胞に運ばれ、糖質と同じくミトコンドリアの中に入っていきます。

脂肪酸は長い炭素の鎖を持ちますが、ミトコンドリアの中に入ると炭素の鎖が次々と切り離されて分解されます。
その後、さらに細かく分解されて、ブドウ糖と同じ経路でATPを作り出すことができます。

脂質は1gで9キロカロリー分もエネルギーを作り出すことができ、糖質(1gで4キロカロリー)よりも多くのエネルギーを作り出すことができます。

「カロリー」はどうやって消費されるのか

カロリー消費、といえば運動を思い浮かべる方も多いでしょう。
確かに筋肉を動かすためにはATPが必要なので、運動ではエネルギーを消費できます。

しかし、運動をしなくても私たちはエネルギーを使っています。
例えば考え事をしたり、食べ物を消化したり、髪を伸ばしたり、骨や皮膚を作りかえたりするのにもエネルギーが使われています。

安静にしているときにでも最低限必要となるエネルギーのことを基礎代謝量と言います。
一般的に成人男性の基礎代謝量は約1500キロカロリー成人女性の基礎代謝量は約1100キロカロリーと言われており、1日の消費カロリーの約60%は基礎代謝が占めていると言われています。

「カロリー」をとりすぎるとどうなるのか

「カロリーのとりすぎ」とは、食べ物から摂取したカロリーが消費するエネルギーよりも多くなっている状態を指します。

ヒトの体は、必要量を上回ったエネルギーを蓄えようとする性質があります。
余分なエネルギーは脂肪の形で体内に蓄えられます

体内のエネルギーが不足した際には、このようにして蓄えられた脂肪が分解され、エネルギーを生み出すことができます。
脂肪は1gで9キロカロリーものエネルギーを蓄えることができるので、非常に効率よくエネルギーを蓄えることができるのです。

カロリーの低い食品があるのはなぜ?

ダイエット中はなるべくカロリーの低いものを選んで食べる人が多いと思います。

キャベツやホウレン草などの葉物野菜は低い食品の代表としてよく挙げられます。
でも、葉物野菜は燃やすと温度が上がり、エネルギーが発生しますよね。
これらはどうしてカロリーが低いのでしょうか?

また、ゼリーやジュースの中には、十分な甘さがあるのに「ゼロカロリー」と表記されているものがありますよね。
砂糖や果物を使ったジュースはカロリーが高いのに、どうしてこういった商品が存在するのでしょうか?

そのカギは食物繊維人工甘味料にあります。

食物繊維の割合が多いとカロリーが低くなる

キャベツなどの葉物野菜は食物繊維の含有量が高い食品です。
食物繊維とは食品に含まれる「ヒトの消化酵素では分解できない物質」の総称です。

糖質やタンパク質、脂質は消化酵素によって分解され、ヒトの体に吸収されやすい形になります。
一方、食物繊維は分解されないため、ヒトの体には吸収されにくいのです。
体に吸収されにくい食物繊維は、エネルギー源にもなりにくいので、食物繊維の割合が多い食品はカロリーが低くなるのです。

人工甘味料を使うと「甘いのに低カロリー」な理由

いわゆる「ダイエットコーラ」や「ゼロカロリーゼリー」などは人工甘味料を使用することで、「低カロリーなのにちゃんと甘い」を実現できています。
なぜこんなことができるのでしょうか?
これには2つ理由があります。

理由その①エネルギーを生み出せない

砂糖の主成分であるスクロースは体内へ吸収された後、酵素により分解される過程で、体のエネルギー源となるATPを作り出します。

人工甘味料の中には体内で吸収されても、分解されずにそのまま排泄されるものがあります。
このような人工甘味料は、砂糖などとは異なり、体のエネルギー源となるATPを作り出すことはできません

このように、一部の人工甘味料はエネルギーを生み出すことができないため、「甘いのに低カロリー」を実現できるのです。

理由その②少量でも十分な甘さがある

人工甘味料の一つであるアスパルテームは体内で消化されるため、1gあたり4キロカロリーのエネルギーを持っています。
しかし、アスパルテームは砂糖の200倍の甘さを持っています。

たとえば、甘さをすべて砂糖で出したジュース1本のエネルギーが200キロカロリーだったとします。
これと同じ甘さのジュースを砂糖をアスパルテームで代用して作った場合、カロリーを200分の1(つまり1キロカロリー)にすることができるのです。

このように一部の人工甘味料は、カロリーはあっても使用量は僅かで十分なので、「甘いのに低カロリー」を実現できるのです。

「ゼロカロリー」でもカロリーがある!?

ダイエット飲料やゼリーには「ゼロカロリー」と表記してあるものもありますが、実は完全にはカロリーがゼロではないことがあります。
厚生労働省の「健康維持増進に関する法律(健康増進法)」では、100g(飲料では100ml)あたり5キロカロリー以下であれば、『ゼロカロリー』や『ノンカロリー』と記載してよいことになっているからです。

ゼロに近いことには間違いはないけれど、完全にはゼロではない可能性もある、ということは覚えておいた方がよさそうですね。

まとめ

今回の記事ではカロリーについて

・カロリーとは何なのか
・食べ物がどのようにして「カロリー」になるのか
・「カロリー」はどうやって消費されるのか
・「カロリー」をとりすぎるとどうなるのか
・カロリーの低い食品があるのはなぜ?

を説明しました。

ぜひカロリーの知識をダイエットに生かして、ダイエットを成功させてください!

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